カラビナの強度の基礎知識と用途別の選び方を徹底解説

カラビナの強度の基礎知識と用途別の選び方を徹底解説

「カラビナの強度ってどのくらい?」と疑問に思ったことはありませんか。登山やクライミングで使用する際、安全に耐えられるか気になりますよね。

カラビナの強度は「kN(キロニュートン)」という単位で表され、荷重のかかる方向によっても耐久性が変わります。また、ゲートが開いた状態や横方向の荷重によって強度が低下することもあります。

本記事では、カラビナの強度の基本、破断強度に影響する要因、用途に応じた選び方を詳しく解説します。適切なカラビナを選び、安全に活用するために、ぜひ最後までご覧ください。

カラビナの強度とは?

カラビナの強度は「kN(キロニュートン)」で表され、これは荷重に耐えられる力の大きさを示す単位です。一般的に、1kNは約100kgf(重量キログラム)に相当します。 カラビナの強度は 縦方向(メジャーアクシス)、横方向(マイナーアクシス)、オープンゲート状態 の3方向で測定されます。

  • 縦方向(メジャーアクシス):最も強度が高く、18kN〜25kN(約1,800kg〜2,500kg)に耐えられる。
  • 横方向(マイナーアクシス):約5kN〜8kN(約500kg〜800kg)と縦方向より低い。
  • オープンゲート状態:ゲートが開いたまま荷重がかかると、約6kN〜9kN(約600kg〜900kg)に低下する

強度が高いカラビナでも、誤った使い方をすると強度が大幅に下がり、破損や落下のリスクがある ため注意が必要です。購入時は強度の数値を確認し、用途に合ったカラビナを選びましょう。

強度の単位「kN(キロニュートン)」とは?表示の見方も解説

カラビナの強度を示す「kN(キロニュートン)」は、力の大きさを表す単位で、クライミングや登山用カラビナの安全性を確認するために重要です。一般的に 1kN は約100kgf に相当し、「24kN」と表示されたカラビナは 約2400kg(2.4t)の荷重に耐えられる 計算になります。ただし、これは静的荷重の基準であり、実際の使用環境では衝撃や摩耗の影響を受けるため、強度を過信せず適切な使用が求められます。

カラビナには以下のような強度表示が刻印されています。

  • 長軸方向の強度(←→):最も強度が高く、通常20~25kN(約2000~2500kgf)
  • 短軸方向の強度(↑↓):横方向の力には弱く、10kN以下のものが多い
  • オープンゲート時の強度:ゲートが開いた状態ではさらに低下し、約6~8kN程度

このように、長軸方向が最も強く、短軸方向やオープンゲート時には強度が大きく下がるため、正しい使い方が不可欠です。また、kNは力の単位であり、重量そのものではありません。特に墜落時には瞬間的に大きな荷重がかかるため、表示強度よりも余裕を持った選択が安全につながります。カラビナを選ぶ際は、UIAAやCE認証の製品を確認し、用途に合った強度を選ぶことが大切です。

カラビナの強度はどの方向で測定されるのか?

カラビナの強度はどの方向で測定されるのか、アウトドアやレジャーで使う予定がある場合は知っておくことが大事です。カラビナの強度は長い方の縦方向、短い方の横方向、開閉部分が開いたオープンゲートの状態で測定されます。

カラビナは縦方向が一番強度が強いため、登山やキャンプなどのアウトドアでは縦方向に荷重が掛かるように固定します。横方向は縦方向に比べると3分の1程度なので、使用する際は注意が必要です。 オープンゲートの状態はゲートが開いているため、縦方向に荷重が掛かるように設置しても、3分の1以下の強度しかありません。強度はどの方向で測定されるのか、正しい知識を身に付けておくとカラビナの欠点などを理解しやすいです。

カラビナの破断強度に影響する要因

カラビナは、正しく使用すれば高い強度を発揮する道具ですが、誤った使い方をするとその強度が大幅に低下してしまいます。特に、ゲートが開いた状態や横方向への荷重、多方向からの力の影響、角に当たる状況などは、カラビナの破損リスクを高める原因となります。

カラビナを安全に使用するためには、どのような状況で強度が低下するのかを理解し、それを避けることが重要です。次の項目では、カラビナが破壊されるそれぞれの要因について詳しく解説します。

ゲートが開いた状態での強度低下

カラビナはゲートを閉じてロックを掛け、縦方向に荷重が掛かるようにセットすることで最大強度になります。しかし、オープンゲートの状態では破断強度が下がってしまいます。オープンゲートでは、通常の3分の1以下の強度になるとされています。

例えば、縦方向に荷重がかかる「メジャーアクシス」の状態では、最大で24kN(キロニュートン)まで耐えられるカラビナも、オープンゲート状態では約10kNまでしか耐えられません。この強度低下は、カラビナの破損や荷重の突然の解除につながる可能性があります。 そのため、使用前には必ずゲートが確実に閉じていることを確認し、ゲートが開いた状態で負荷がかからないようなセッティングを心掛けることが重要です。

横方向の荷重による強度低下

カラビナは、縦方向に荷重がかかることで最大の強度を発揮します。しかし、誤った使用方法によって荷重が横方向(短軸方向)にかかると、強度が大幅に低下してしまいます。この状態では、本来の強度の約3分の1程度まで落ちるとされており、十分な耐荷重が確保できなくなります。

登山やアウトドア用途で使用する場合でも、横方向に力がかからないように設置することが重要です。特に、不安定なセッティングや予期せぬ衝撃によってカラビナが横向きになることを防ぐため、使用前にしっかりとセット状況を確認しましょう。横方向の荷重がかかると、破損や脱落のリスクが高まるため、カラビナの正しい向きを意識することが大切です。

多方向への荷重やてこの力がかかる荷重による強度低下

カラビナは縦方向(メジャーアクシス)に荷重がかかるように設計されており、この状態で最大の強度を発揮します。しかし、複数の方向から力が加わると負荷が分散せず、一部に集中することで強度が大幅に低下します。例えば、2本のスリングを1つのカラビナに掛けると、荷重バランスが崩れ、本来の耐荷重の30%以下になることがあります。特に、3方向から力が加わる「トリプルアクション」は非常に危険で、予期せぬ破断につながる可能性が高まります。

また、てこの力が働く状況も強度を著しく低下させる要因 です。カラビナが岩や金属の角に接触していると、その接触点を支点にてこの原理が作用し、局所的に大きな力が集中します。この状態では、本来の耐荷重に達する前に破断する危険性が高まります。さらに、ロープやスリングがカラビナの端にかかると傾きが生じ、正しい方向の強度を発揮できなくなることもあります。

安全に使用するためには、荷重が縦方向にかかるよう意識し、複数のスリングを掛ける場合は荷重のバランスに注意することが重要です。また、カラビナが角や硬いものに直接触れないよう、プロテクションやパッドを活用するのも有効な対策となります。

角に当たった状態での荷重による強度低下

カラビナは縦方向に荷重がかかることで最大の強度を発揮しますが、鋭利な角に当たると強度が大幅に低下します。45度の角では約半分、90度の鋭利な角では破断強度の1/6程度まで低下する可能性があります。これは、応力が一点に集中し、カラビナの素材や構造に大きな負担がかかるためです。

特に、ゲート部分は横方向の荷重に弱く、角に接触すると破断のリスクが高まります。強度低下を防ぐには、カラビナが直接角に触れないようスリングを挟む、配置を調整するなどの対策が必要です。また、摩耗や変形がないか定期的に点検し、異常があれば交換することが安全な使用につながります。

参照:鋭利な角で曲げられた場合の強度低下

カラビナ「高強度=安全」とは限らない

カラビナの強度が高いほど安全だと思われがちですが、実際にはそうとは限りません。カラビナの安全性は、単なる強度だけでなく、使用環境や正しい使い方によって大きく左右されます。 まず、カラビナの強度は人体が耐えられる衝撃荷重を基準に設計されています。一般的なクライミング用カラビナの破断強度は約24kNですが、人間が耐えられる衝撃荷重は約12kNとされています。そのため、24kN以上の強度を持つカラビナを使っても、安全性が飛躍的に向上するわけではありません。

また、カラビナの強度表示は静荷重に基づいていますが、実際の使用では墜落時の衝撃荷重(動荷重)が発生します。動荷重は一瞬で大きな力が加わるため、表示されている強度を過信すると危険です。加えて、長期間の使用による摩耗や金属疲労もカラビナの強度を低下させる要因となります。

カラビナの安全性を確保するには、単に強度の高いものを選ぶのではなく、正しい使い方を守り、定期的に点検・交換を行うことが重要です。高強度=安全という考え方にとらわれず、使用環境に適したカラビナを選び、安全対策を徹底しましょう。

カラビナの破断強度はなぜ24kN?

カラビナの破断強度が24kNに設定されている理由は、安全性と実用性のバランスを取るためです。人間は約6kN(600kg)の衝撃で負傷し、12kN(1.2トン)を超えると致命的な損傷を受ける可能性があります。また、クライミング時にはロープの折り返しで衝撃が2倍となり、カラビナには少なくとも24kN(12kN × 2)の強度が必要です。

さらに、ゲートが開いた状態では強度が約1/3に低下するなど、実際の使用条件下では強度が減少する可能性があります。そのため、24kNはこうした要因を考慮した安全マージンを含む基準値です。技術の進歩によりカラビナは軽量化や形状改善が進んでいますが、24kNという強度基準は人間の耐性を基に維持されています。この数値は、クライマーが安心して使用できる最低限の安全基準と言えます。

カラビナの用途に応じた強度の選び方

カラビナは用途によって求められる強度や機能が異なります。登山やクライミングでは安全性を最優先に考えた高強度のカラビナが必要ですが、日常的なアクセサリー用途では軽量でデザイン性を重視したものが選ばれます。そのため、目的に適した強度や構造を理解し、適切なカラビナを選ぶことが重要です。

以下では、登山・クライミング向けとアクセサリー・ファッション向けのカラビナの特徴と強度の選び方について解説します。

クライミング用・登山用のカラビナの場合

登山やクライミングに使用するカラビナは、安全性を確保するために適切な強度を持つものを選ぶ必要があります。一般的に、支点やロープの確保に使用するカラビナは、長軸方向(メジャーアクシス)の破断強度が24kN以上のものが推奨されます。これは、墜落時の衝撃荷重に十分耐えられるよう設計されているためです。

カラビナには、強度を示す数値が刻印されており、国際的な安全基準「UIAA」や「CE」マークが付いたものを選ぶと安心です。 用途別に見ると、一般的な登山では24kN以上のD型カラビナが適しており、クライミングでは軽量で操作性の良いものが好まれます。ビレイ用にはHMS型のロッキングカラビナ、支点構築用には高強度のスクリューゲート式がおすすめです。強度が表示されていないものは登山用ではないため、誤って使用しないよう注意しましょう。O型やD型など形状も合わせてチェックするようにしてください。

アクセサリー・ファッション用のカラビナの場合

アクセサリーやファッション用途で使われるカラビナは、登山やクライミング用とは異なり、軽量でデザイン性を重視したものが多くなっています。一般的に、これらのカラビナの強度は500~850N(50~85kg相当)程度で、鍵や小物を取り付けるには十分な耐久性があります。しかし、クライミングや重量物の吊り下げには適していないため、用途を正しく理解して選ぶことが重要です。

素材によっても強度は異なり、チタン製は軽量かつ高耐久、アルミニウム合金は手軽でカラーバリエーションが豊富、ステンレス製は錆びにくく長持ちする特徴があります。特に日常的に持ち歩くキーホルダーやバッグのアクセントとして使う場合は、軽量で開閉しやすいものを選ぶと便利です。 ファッション用カラビナはデザイン性に優れていますが、強度面ではクライミング用と異なるため、安全な範囲で活用しましょう。

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カラビナの強度に関するよくある質問

カラビナの強度は用途によって異なり、登山用や産業用、アクセサリー用など、それぞれに適した耐荷重があります。また、強度の単位である「kN(キロニュートン)」の意味や、使用条件による強度低下について疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、カラビナの耐荷重や強度の目安、注意点について分かりやすく解説します。

カラビナの耐荷重は?

カラビナの耐荷重は、使用目的や素材によっても大きく異なります。アクセサリー用カラビナ、多機能カラビナ、産業用カラビナ、登山用カラビナなどの種類があります。アクセサリー用カラビナの耐荷重は50㎏から85㎏です。縦方向に荷重が掛かると外れにくく、キーホルダーや小物を吊り下げるのに便利です。

多機能カラビナの耐荷重は80㎏から100㎏です。縦方向に荷重が掛かると一般的な運搬作業、園芸などに耐えることができます。産業用カラビナは耐荷重が200㎏から400㎏です。重たい物の荷揚げをしたり、安全帯などを付けるのに適しています。登山は命の危険性があるため、登山用カラビナは破断強度が2,400㎏と設定されています。

カラビナの強度はどのくらいですか?

カラビナの強度は「kN(キロニュートン)」という単位で表示されます。1kNは約100kgfに相当し、例えば 24kNのカラビナは最大約2400kgの荷重に耐えられることを意味します。ただし、これは 破損直前の静荷重の目安であり、実際の使用環境ではこれより低い荷重でも破損する可能性があります。

特に 墜落時の衝撃荷重(動荷重)は短時間で数倍の力がかかるため、安全基準では 6kN以上で重傷、12kN以上で致命的とされています。そのため、登山用やクライミング用のカラビナは 24kN程度の強度 に設計されています。

ただし、強度が高いカラビナでも 誤った使用方法では安全性が損なわれる ことに注意が必要です。例えば、横方向に荷重がかかると強度が約3分の1に低下し、ゲートが開いた状態ではさらに低下します。カラビナを使用する際は、正しい向きで使用し、定期的な点検を行うことが重要です。

カラビナの強度kNとは?

カラビナの強度は「kN(キロニュートン)」で表され、耐えられる力の大きさを示します。1kNは約100kgf(約102kg) に相当し、例えば24kNのカラビナは約2400kgの静荷重に耐えられます。 カラビナには以下の強度表示が刻印されています。

  •  メジャーアクシス(長軸方向):最も強度が高く 20~24kN(約2000~2400kg)。
  • マイナーアクシス(短軸方向):長軸の約 1/3の強度 で 7~8kN。
  • ゲートオープン時:さらに低下し 5~7kN ほどになります。

強度の高さだけでなく、正しい使い方が安全性に直結 するため、向きや荷重のかかり方に注意しましょう。

カラビナの24kNは何キロですか?

カラビナの24kN(キロニュートン)は約2447kg(約2.4トン)に相当します。これは静荷重での最大耐荷重を示し、破損直前の強度を意味します。

ただし、実際の使用では安全係数を考慮し、余裕をもって運用することが重要です。また、荷重の方向や衝撃の影響で強度が低下することもあるため、適切な使用方法を守りましょう。

消防で使用されるカラビナの強度は?

消防用カラビナは、救助活動の安全を確保するために高い強度基準が求められます。JIS規格では最低130kgf、NFPA 1983規格では最低20kN(約2トン)の破断強度が必要とされています。

消防用カラビナは、縦方向(長軸方向)に最大強度を発揮し、ロック機構付きのものが一般的です。ゲートが開いた状態では強度が大幅に低下するため、使用時は必ずロックを確認しましょう。破壊荷重の約1/12を許容荷重とする安全基準を守り、適切に運用することが重要です。

耐荷重100kgのカラビナとは?

耐荷重100kgのカラビナは、主に日常用途や軽作業向けに設計されています。例えば、キーホルダーやバッグのストラップ固定、軽量な荷物の吊り下げなどに適しています。

クライミング用や登山用のカラビナは、通常20kN(約2,000kg)以上の強度を持ち、100kgをはるかに超える荷重に耐えられるため、用途が異なります。100kg耐荷重のカラビナを安全装備として使用するのは危険です。 選ぶ際は、用途に合った強度のものを確認し、必要に応じて耐久性の高い素材(ステンレスやアルミ合金など)を選ぶことが重要です。

まとめ

本記事では、カラビナの強度に関する基礎知識や、用途別の選び方、破断強度に影響を与える要因について解説しました。カラビナの強度は「kN(キロニュートン)」で表され、縦方向が最も強く、横方向やゲートが開いた状態では大幅に低下します。また、登山・クライミング用とアクセサリー用では求められる強度が大きく異なり、適切な用途で使用することが重要です。

強度が高いカラビナを選べば安全というわけではなく、正しい使い方を理解し、用途に合ったものを選ぶことが事故を防ぐポイントとなります。特に登山やクライミングでは、UIAAやCE規格を取得した製品を選ぶといいでしょう。

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